逆流性食道炎の本質

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逆流性食道炎の本質                          2015.6.4 有本 政治

逆流性食道炎は、強い酸性の胃液や、胃で消化される途中の食べ物が食道に
逆流してそこに留まるために、食道が炎症を起こし、胸やけや胸の痛みなど様々
な症状が生じてきます。原因は、胃から食道への逆流を防ぐ仕組みの働きが悪く
なったり、胃酸の分泌が増えすぎたりして、胃の内容物が食道に逆流して長く留ま
ることで起こります。本来は、胃液が逆流しないように、胃の上の入り口に当たる
噴門部の筋肉によって、入れる方はできても、逆流しない様な仕組みになっていま
す(噴門は胃の上の口、幽門は胃の下の口)。それが、食事の内容、肥満、加齢、
姿勢の影響などによって、上記の仕組みが弱まったり、胃酸が増え過ぎる事で起
こるとされています。

症状は、胸やけの他に、酸っぱい液体が口まであがってくる、胸痛、咳、喉の違
和感、不眠などの様々な症状が見られます。中には食道に炎症が起こっても、あ
まり症状を感じない人もいます。治療は、胃酸の分泌を抑える薬の服用になります。
(重症の場合は手術になることもあります)。また、食道の粘膜を保護する薬や胃酸
を中和する薬も使用されます。これは効果がある時間が短いため胃酸を抑える
薬と一緒に使用されます。残念ながら、現在使われている薬では、逆流を根本から
治す事は出来ません。再発を繰り返す方が多く、薬を飲み続ける事で、再発を予防
する”維持療法”が勧められています。これにより徐々に体重が減っていく方が多く
見受けられます。

再発を繰り返すと言う事は、逆流性食道炎を違った観点から捉えていく必要があり
ます。以下に日本伝承医学の捉える逆流性食道炎の本質とその対処法を解説し
ます。日本伝承医学の病気や症状の捉え方は、病気や症状を一方的に悪い反応
として捉えず、意味があって起こしている必要対応という視点でみていきます。
逆流性食道炎は、逆流を防ぐ仕組みが単に働かなくなって起こっているわけでは
ありません。働かないのではなくて、わざと逆流させているのです。逆流させる事で、
胃の内部の圧力を抜いて、胃部の膨満をとり、横隔膜の押し上げによる心臓や肺
の圧迫を防ぎ、急性心臓病(突発型心筋症)や呼吸困難による重篤な状態への移
行を防ぎ、命を守ってくれているのです。

一時的に胃酸による炎症や諸症状を体に起こしても、命を守る方が優先されなけ
ればならないのです。体の起こす対応には意味があります。無駄な事や余分な事
は一切ありません。何かを元に戻し、修復し、最後まで命を守り抜くように何段階も
の対応手段が講じられています。故にその本質と根拠と機序が明らかになる事
で、どう対処すれば良いかも見出せるのです。

上記した急性心臓病(突発型心筋症)とは、別名ポックリ病と呼ばれ、年齢に関
わらず多くの方が亡くなっています。現代医学では原因不明とされていますが、
この原因の一つが胃部の膨満による心臓圧迫と考えられます。それは、一気に
大量の飲食物を取り込む事で胃部が膨満し、横隔膜を突き上げ心臓圧迫を起こ
して倒れる例が証明しています。そのまま急性心臓病で亡くなる場合も多くあります。
また肺の圧迫による呼吸困難も呼吸停止に陥り死に至る場合があります。この状
態を回避して命を守る対応が逆流性食道炎の本質であったのです。さらに副次的
作用として、胃酸という強い酸で食道壁や気道壁に張りついたベトベトの”痰”を溶
かし、食道や気道の詰まりを除去し、通りを確保する働きもあります。その訳は、
食道や気道に張りついた痰は、粘膜の免疫力を低下させ、病原菌やウイルスに対
して効力を発揮できなくなります。これは様々な感染症を引き起こす要因となり、こ
れを回避し粘膜の機能を元に戻す作用もあるのです。

また体への警告作用も発しています。胃酸が逆流したり、胃の未消化の内容物が
口まで上がってくる事は、もうこれ以上食べ物を消化できない状態だから、食べ
物を入れるなと言う警告なのです。食べない事で、胃の回復を促したいのです。生
きている体はこのような警告信号も発します。体の示すサインに素直に従う事が
回復につながるのです。以上が、必要な対応としての逆流性食道炎の本質になり
ます。故に逆流性食道炎を止める処置をしたり、胃酸を抑制する薬を投与したり、
薬を飲み続ける維持療法を続けたり、ましてや噴門部を狭める手術等はすすめら
れません。いくら薬で止めようとしても、必要な対応であるからこそ、薬を止めれば
すぐに再発を繰り返してしまうからです。

それではどうすれば逆流性食道炎を回復に向かわせる事が出来るのでしょうか。そ
のためには、何故胃酸過多になったり、胃の内部の圧力が高まったり、胃部が膨
満するのかの根拠と機序を明らかにする必要があります。この機序が変えられれ
ば、逆流させる必要はなくなるのです。以下がその理由になります。

胃酸を過剰に出すには、意味があるのです。胃酸は消化のための消化酵素を含
む消化液です。人体の消化のための消化酵素は分解される栄養素によって、炭水
化物分解酵素、タンパク質分解酵素、脂肪分解酵素の三種類あります。それは胆
嚢から出る「胆汁(脂肪分解)」と膵臓から出る「膵液(三大栄養素すべて分解)」それ
と胃から出る「胃酸(タンパク質分解)」になります。正確には胆汁は消化酵素では
ないのですが胃液や膵液と協調する事で食べ物を消化しています。この三種類の
作用によって食べ物は消化されます。この三種類の消化酵素を含む消化液はお
互い協調的に作用し、互助関係で成り立っています。
つまり胃酸が過剰に分泌されるのは、胆汁と膵液が分泌不足のために、これを補
う対応として、胃酸をたくさん出す事で消化を成立させようとする体の必要対応なの
です。この本質を知らずに胃酸を抑える薬を使用するという事は、体の備える消化
能力を全て失う事につながるのです。故に維持療法を続ける事で、栄養の消化吸
収が極端に落ち込み、体は痩せ衰えていくのです。これは命の危険さえ招くものです。

必要に応じては胃部がいっぱいになる程に胃酸を出さなくては消化が出来ない場
合も起こります。それは脂っぽいものを大量に食べた時に発生します。脂肪の消
化と吸収を助けるはずの胆汁が出ないからです。十二指腸や小腸に送っても胆汁
と膵液が分泌できないために、消化ができずこのために、脂肪分の多い食べ物は
胃の中に止めざるを得ないのです。これを補うために、より過剰な胃酸分泌がなさ
れるのです。胃の中に長く留まるために次第に胃の内圧が高まったり、胃部の膨満
が発生するのです。また胆汁の流れが詰まり胃の中に逆流する事も胃の膨満を進
行させます。これ以上胃部が膨満しては、横隔膜を突き上げ肺や心臓を圧迫する危
険域に達した場合に、噴門を開き胃酸と胃の内容物を逆流させる事で圧力を抜い
て、これを回避しているのです。以上が胃酸の異常分泌と胃部の内圧上昇、胃部
の膨満の根拠と機序になります。

ちなみに胃酸、膵液、胆汁の1日の分泌量は胃酸が約2、5リットル、膵液は約1、5
リットル、胆汁は約0、8リットル位になります。以上の機序が明らかになる事で、どう
対処すれば良いかが少し見えてきます。つまり胃酸過剰分泌の原因となっている
他の二種の消化酵素である、胆汁と膵液の分泌不足を元に戻す事で胃酸を過剰
に出す必要はなくなるのです。そのためには何故胆汁と膵液が分泌不足になって
いるのかを解明する必要があります。

それはまず先に胆汁の分泌不足から起こっています。胆汁の分泌不足はその大
元である肝臓、胆嚢の機能低下が原因です。胆汁は肝臓で作られ、胆嚢という袋
に集められて、十倍以上に濃縮されます。食べ物が胃から十二指腸に入ってくると
袋を収縮させて胆管を通って十二指腸に分泌します。この作用に破綻が生じたの
です。そして主に膵液と連携して脂肪の分解吸収を助けるのが役目になります。

肝臓と胆嚢は、肝胆相照らすの言葉通り、密接な関係があります。肝臓が弱れば、
一緒に胆嚢も機能低下します。肝臓の機能低下の最大の要因は、精神的ストレスの
持続が挙げられます。脳と肝臓は密接につながっています。脳の酷使は、脳内の
神経伝達物質や脳内ホルモンを大量に消費します。これらの物質は肝臓で作られ、
脳で使われ、また肝臓に還って分解されます。これが過度に働く事で、肝臓の機能
が徐々に低下していったのです。肝臓の機能低下が胆汁の生成を減少させたのです。

これを元に戻す対応として、体は肝臓に大量の血液を集め、軽い炎症と腫れを起こ
す事で回復を図ります。これは前述してありますように肝臓に内包される胆嚢にも同
様の機序をもたらします。胆嚢に炎症と腫れが起こると、袋である胆嚢は収縮力
が弱くなり、必要な時、必要な量の胆汁を分泌できなくなるのです。さらに肝臓の機
能低下による胆汁の生成低下が余計に胆汁不足を引き起こしたのです。胆汁の分
泌不足の持続は、時間の経過とともに、十二指腸で消化を協調する膵液の大量分
泌を余儀なくさせ、遂には膵臓の機能低下まで誘発し、膵液の分泌にも影響を与え
る事になったのです。以上が胆汁と膵液の分泌量低下の機序になります。これが消
化を守る対応としての胃酸過多の根拠と機序になります。

故に胃酸過多を回復に向かわせるためには、根本要因の肝臓と胆嚢、膵臓の機能
を元に戻す必要があります。膵臓の機能低下の背景は、前述の膵液の大量分泌だ
けではなく、精神的ストレスの持続からもたらされる、脳と肝臓の血液の大量消費か
らくる、全身の血液の配分の乱れがあり、胃や膵臓に血液不足が生じ、これがさら
に機能低下を助長しています。また精神的ストレスの持続は、脳への血液供給を促
進させる必要から、心臓のポンプ力に負担をかけ続け、心臓の働きも落とすのです。

さらに胆汁不足は、胆汁の一番大切な働きである苦い成分による、体の炎症を鎮め
る作用と血液の熱を冷ます機能を低下させ、血液に熱を帯びさせ、熱変性による
赤血球の連鎖(ドロドロベタベタ血液)をもたらし、血液の質を低下させ、体の免疫
力を落とす最大の要因となるのです。以上の機序が重なり合い、上記の症状を引
き起こしているのです。つまり精神的ストレスの持続が根本原因になり、全身の血
液の循環、配分、質が乱れ、肝臓、胆嚢、心臓、膵臓、胃腸の機能低下を次々と
引き起こしているのです。これらの関連と機序が明らかになる事で、どうすれば逆流
性食道炎を回復に向かわせる事が出来るのかが示されています。

根本原因の精神的ストレスはすぐにとり去る事はなかなかできません。ただ体への
影響を最小限に抑える事は充分可能です。そのためには、全身の血液の循環、配
分、質の乱れを元に戻す事が必要です。これを成しとげるには、全身の血液の循環、
配分、質の乱れに関与する肝心要に相当する肝臓(胆嚢を含む)と心臓の働きを元
に戻す事が大切です。また全ての病気や症状の背景に存在する自身の生命力や免
疫力を高める事も同時に行なう事が重要です。

これらを総合的に行なえるのが日本伝承医学の治療法になります。
生命力とは、細胞新生力に置き換えられます。免疫力とは造血力に相当します。
細胞新生と造血は共に体の骨髄が担っています。生命力や免疫力を高めるには、
骨髄の機能を発現させる事で、速やかに回復できるのです。日本伝承医学の治療
法は、この事を発見していた古代人が、骨髄の機能を発現させる事を目的に開発し
たものです。また内臓的には、これも肝心要の重要性に気付いた古代人が、肝臓、
胆嚢、心臓を中心に技術を構築しています。全身の血液の循環、配分、質の乱れが
整う事で、胆嚢や膵臓の機能が高まり、胆汁と膵液の分泌が促進される事で、胃
酸の過剰分泌が必要なくなるのです。

また家庭療法として推奨する頭と肝臓の氷冷却法は、精神的ストレスから発生し
ている脳の熱のこもりと脳圧の上昇の除去に役立ち、肝臓の熱を取り、充血を散
らし、血液の配分を整えます。同時に胆嚢の熱と腫れも除去し、胆嚢の収縮を取
り戻し、胆汁の分泌を促進します。膵臓の炎症と腫れをとるために、膵臓の冷却
も行ないます。これは仰臥位やいすにもたれる姿勢で、アイスバックを脊柱と両肘
を結んだ交差点の気持ちの良い箇所に敷いたり、挟んで行ないます。時間は出来
るだけ長く、最低20分位を目安に行ないます。気持ち良い感覚を大切に時間は調
整します。これにより膵臓の機能の回復をもたらし、膵液の分泌を促進します。
食事は油っぽいものは避けます。就寝時の3時間位前までには夕食を終わらせる
ことも大事です。私たちは意識しないと水をあまり飲まないので、1日に1~1.2リッ
トル位は飲むように心がけていきます。水は消化液の分泌を助けてくれるからです。
また、成長ホルモンと基礎代謝を促すためにも、夜11時位までには床につくことも
大切です。

 

逆流性食道炎をとらえなおす           2004. 有本 政治

 心労や極度の精神的ストレスの持続は、肝臓や胃に内熱を生じ
させます。この異常な熱の発生により、食道の内管壁の粘膜の水
分質がとばされ、ねばねばした痰となり、内管壁にへばりついた
り、食道や気管をふさぎ、せまくしていきます。
逆流性食道炎は、塩酸を多く含む胃酸を食道に上げることにより、
管内にへばりついた汚れやつまりを溶かし、除去する役割を果た
しています。
 元来心肺機能が弱い場合が多く、粘液質の痰を自力でうまくき
ることができなくて、蓄積した痰が気道を大きくふさいでいきま
す。胸苦しさ、息苦しさから、せき、吐き気、頭痛、耳鳴り、め
まい等の様々な症状を併発させていきます。
また、体はせきによって肺を鼓舞させ、なんとか気道を確保しよ
うと働くため、胸部、また背部(心臓裏)の骨に、刺すような、拍
動性の痛みが生じてくる場合もあります。
 初期症状は胃かいよう、十二指腸潰瘍と似ていますが、これら
を下水管(下部)での症状ととるならば、逆流性食道炎は下水管の
つまりが上まで上昇し、吹き上がってきた末期に近い対応の姿と
みなしてもよいでしょう。これ以上、物を上から入れないように、
食事をしないように、という体からの危険信号でもあります。
 胃かいようの段階では、なんとか小分けにして食べられていた
食事も、胃酸が上に逆流してくるこのような段階に入ると、ほと
んど受けつけなくなっていきます。気持ちが悪く、丸1~2日間、
全く物を食べられない状態が続くこともあります。しかし、食事
をとらないことによって体は胃腸を休め、血液の循環、配分を取
り戻して修復しているので、無理して食事をとってはいけません。
また、潰瘍の段階ではゲップを自然に出せていたのが、逆流性食
道炎まで移行してくると、自力ではなかなか吐き出せなくなって
いきます。

ゲップには胃の内圧を除去する大事な役割がありますが、つかえ
て出なくなると胃部が膨張し、心臓、肺を突き上げ、呼吸困難に
おちいることがあります。逆流性食道炎は、胃が膨満し横隔膜を
突き上げ、心臓、肺が圧迫されるのを防ぐために、噴門(胃の上
の口、幽門は胃の下の口)を開いて胃液を出し、胃の内圧を抜い
て心肺機能を守っている対応の姿でもあります。
ゲップがつかえたときにはあせらず、赤ちゃんのゲップを出す
ような要領で、背中から誰かにすぐたたいてもらうことが大事
です。誰もいないときには背を少しまるめて、自分でこぶしで
たたきます。
赤ちゃんはゲップがつかえて出ないと、泣いてミルクと一緒に
ゲップを吐き出し、気道を確保します。赤ちゃんは噴門部がま
だ未熟で、きちんと閉じていないため、ミルクをのんだまま寝
かせてしまうとミルクが気道に入ってしまうため、窒息してし
まいます。余分な空気はいち早くゲップを吐くことで抜いてあ
げなければなりません。
 逆流性食道炎は、この噴門部を赤ちゃんのようにゆるませて、
中からのガス、余計な空気を抜いて、内圧を下げている症状に
なります。胃の入り口である噴門をゆるませることで、胃の内
容物や消化液を逆流しやすくし、食道に炎症を起こさせ、体を
守ってくれている対応の姿といえます。
 現代医療ではこの逆流を悪い対応とみなし、これを放置して
おくと、がんになるという論理で薬や手術によって対処してし
まいます。しかし私たちの体は必要があって胃と食道の接合部
をゆるませ、逆流させているのであって、これを抑えてしまっ
たり、接合部の締まりを良くする手術をしてしまえば、必ず体
は次なる対応をせまられてきます。
逆流性食道炎を放っておくとがんになるのではなく、この症状
を薬や手術で阻止してしまうことによって、最終対応の姿であ
るがんに移行してしまうのです。逆流性食道炎はけっして悪
い症状ではなく、命を守るための必要な対応になります。

 私たちの体は肝臓の機能が低下すると、胆汁の生成機能を著
しく害し、胆汁の分泌低下をもたらします。脂肪の消化に欠か
せない胆汁が不足すると消化酵素を出す、すい臓に大きく負担
をかけ、すい液の分泌低下をも引き起こします。すい液が出な
くなると胃から出る胃酸を主成分にした胃液を大量に出すこと
で体は食べ物の消化を助けようとします。これが胃酸過多にな
り、胃の膨満、内圧の上昇を引き起こしていきます。この内圧
を抜く対応が逆流性食道炎となります。
この症状を改善していくには、まず、肝臓の充血、炎症を取り
去り、肝機能を上げ、胆汁不足を補うことです。胆汁が生成さ
れればすい臓にも負担がかからず、胃の機能を取り戻すことが
できます。
体に出ている症状は単に現れている症状だけを封じ込めてしま
うのではなく根本的要因から見つめ直し、正しい選択眼をもっ
て対処して頂きたいと思います。

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