口内炎

人の体のナゼとワケ~口内炎の本質        2015.5.13 有本 政治

口内炎とは、口の中の粘膜に生じる炎症を総称したものになります。口内炎が特
定の場所に局限している場合は、舌炎、歯肉炎、口角炎のように呼びます。カン
ジダ(真菌)やヘルペスウイルス感染による原因が明らかな場合は、カンジダ性
口内炎、口唇ヘルペス、ヘルペス性口内炎と呼ばれます。原因は、細菌、ウイルス、
アレルギー(金属、食べ物)、薬剤など様々ですが、原因が特定出来ないものが多
くあります。白血病や貧血など血液の病気で生じるものもあります。誘因として、疲
労や寝不足、体力の低下、免疫異常、ビタミン欠乏、心労、精神的ストレス、遺伝
的要因等が挙げられます。

症状としては、口内の広い範囲の粘膜が赤くただれたり、水ぶくれやアフタと
呼ばれる小さな潰瘍や大きな潰瘍が出来たりします。時に偽膜というコケ状の膜が
できる事があります。自覚症状としては、口が荒れたり、食物がしみて痛くなります。
進行していくと接触痛が強くなり、食事がとれない、食欲がなくなる、痛みで飲み込み
にくい、しゃべるのも口を開けるのもつらいという状態になります。さらに潰瘍が悪化
し、激痛を起こすようになることもあります。

ウイルスや真菌感染のように、ある程度原因が特定できるものに対しては、抗生物質
が使用されます。しかし原因不明の場合が多く、現代医学では、症状を抑えていくだ
けの対症療法が主流になります。ステロイド剤を中心に、抗炎症薬を患部に塗布し
たり、抗炎症薬を含んだ貼り薬(パッチ)も用います。ビタミン剤服用、あるいはレー
ザーを用いてアフタの部分を焼く外科療法も行われます。しかし多くの場合、薬を止
めてしまうと再発してしまうのが現状です。またステロイド剤や抗生物質の長期に及
ぶ使用は様々な副作用を生み、より重篤な症状へ移行してしまうこともあります。体
に表れる症状は、薬剤等で封じ込めれば込めるほど、深部へ症状を内向させてしま
うのです。

では口内炎とどのように向き合ったらよいかを、日本伝承医学の観点に立って説明
していきます。口内炎とは、体内にこもった通常手段では処理出来なくなった内熱や
毒素を、外部にすてるために発生させた、必要対応の粘膜の皮膚炎や潰瘍になりま
す。口内全体は、小腸や脳幹部の熱のこもりをすてている対応です。「心は舌に開竅
する」(しんはぜつにかいきょうする)というように舌の脇や、舌の下にできる場合は
心臓の反応になります。唇、口角にできる場合は、胃、大腸(胃腸の反応)になります。
唇のビラン状のデキモノは、昔から”熱の華”(ねつのはな)と呼ばれ 、体力が低下し
体内部に熱がこもった時に出やすくなります。(高熱の風邪の後や胃腸炎の時に起
こりやすい)こうした症状は、いつの頃からか口唇ヘルペスと言われ、ウイルス性の
疾患になってしまいました。そのために抗生物質の局所治療が主体となってしまった
のです。

口内炎を改善していくためには、まず体力、免疫力を上げていかなければなりません。
そのために一番大事なことは、十分な睡眠をとるということです。熟睡できなくても、
体を横たえているだけで充分です。仕事を休み休暇をとることも必要です。食事は
痛みがひどい時には無理してとらないで、胃腸を休ませてあげることも大切です。
(水分だけはしっかり摂取するようにしていきます)。

痛みを緩和させるには、氷の粒を口に含み、口内を冷却していきます。氷を口
に含むことによって、炎症が鎮まるからです。含んだ氷が溶けた場合は、水は飲み
込まないで吐き出すようにします。飲んでしまうと口内の細菌が体内に入ってしまう
からです。また、氷枕とアイスバッグでの後頭部、首筋やひたいの冷却も大事です。
口内、脳内、頭部にこもった熱(炎症)を除去してくれるからです。
たかが口内炎とあなどり、無理をしてしまうと、体はどんどん弱っていき、症状を深刻
化させてしまうので気をつけるようにします。口内炎は、「少し休養をとりなさい」とい
う体から発せられた危険信号だと思って下さい。

口内炎は、内部にこもった熱をすてるための必要な対応であります。
頭部(脳幹)、心臓、胃、小腸、大腸の熱をすてるために発生させているのです。こ
れらの熱が蓄積していくと、脳腫瘍や心臓病、胃、小腸、大腸のポリープ、腫瘍やが
んに移行してしまう場合もあります。こうした重篤な症状に移行するのを防ぐために、
体は口内炎を発症させていたのです。故にこれを安易に薬等で封じ込めてはいけま
せん。

頭部(脳幹)、心臓、胃、小腸、大腸の熱の蓄積を如何に除去するかにかかっていま
す。そのためにはこれらの箇所の熱の発生の機序を明らかする必要があります。
脳幹部の熱のこもりは、第一の要因に精神的ストレスの持続が挙げられます。精神
的ストレスやプレッシャーは、常にその事を考えさせ、大脳を興奮状態に置きます。
この持続は大脳に熱を発生し蓄積させていきます。大脳の熱の蓄積は次第に脳の
中心に熱を集めさせます。これにより脳幹部に熱がこもっていくのです。

第二の要因は、脳内の血液不足(虚血)と脳内の毛細血管の停滞と詰まりがあげら
れます。これは脳だけの問題ではなく、全身の血液の循環、配分、質の乱れによっ
て引き起こされます(赤血球の連鎖により血液がドロドロの状態になる)。血液を循環
させる心臓のポンプ力が低下し、脳に十分な血液を送り込めないため、脳に虚血が
起こってしまいます。
第三の要因は、精神的ストレスの持続により、血の塊の様な大きな臓器である肝臓
に充血が起こることで、全身の血液の配分が乱れ、脳に血液を集められず虚血にな
ります。 また胆嚢から出される苦味成分の胆汁の分泌不足により、血液の熱を冷ま
す事が出来ず、熱変性による赤血球の連鎖が起こります。これが毛細血管の内径
より大きくなる事で、全身や脳内の毛細血管の流れを停滞させたり詰まらせます。こ
れにより脳への血流が遅くなり脳の虚血を生み、脳の毛細血管の停滞と詰まりを引
き起こします。

以上の理由により脳内に血液不足(虚血)と脳内の毛細血管の停滞と詰まりが
生起したのです。脳に虚血が起こると、少ない血液を脳内に早く巡らせる必要上、
脳圧を上昇させて対応します。また脳内の毛細血管の血流の停滞と詰まりを流す
対応としても脳圧を上げざるを得ないのです。この持続が脳内に熱を発生させ、熱
の蓄積をもたらすのです。この熱も時間の経過と共に脳の中心に集まり、脳幹部に
熱をこもらせていくのです。

脳幹は別名”命の座”と呼ばれ、基本的な生命維持機能に重要な場所になります。
ここに熱がこもると、生命維持機能に減退が生じ、生命力が大幅に低下していきま
す。これを回避するために、粘膜に穴を開け、熱を外部にすてる対応が、口内粘膜
の炎症や潰瘍になります。口内は、脳幹部の下に位置し、熱をすてやすい場所にな
ります。

心臓の熱の発生とこもりの要因は、遺伝的な体質と心臓の過度の負担に起因しま
す。心臓は体の血流のポンプ役を担っています。立位や座位の場合、心臓より下
部にある場所には重力に従って血液は流し易くなります。しかし上部に位置する頭
には、血液を持ち上げて送り込まなくてはなりません。これは当然心臓のポンプに
負担をかけます。特に脳は体の中で、血液の消費量が多く、常に新鮮な血液を必
要とします。前述してあります様に、精神的ストレスの持続やプレッシャーは脳を常
に興奮状態に置き、血液の消費を増大させます。これが心臓のポンプに過度の負
担をかけ、心臓に熱を発生させる要因となります。また遺伝的に心肺機能の弱い体
質の人は、なおさら心臓に過度の負担を生じさせます。これが心臓に熱をこもらせ
る要因となるのです。心臓の熱のこもりが持続すると、心膜炎や心筋炎の危険が生
じます。これを回避するために体は舌に炎症や潰瘍を作り熱をすてる対応をとって
いきます。(舌炎の詳細は、「舌疾患の本質」を参照)

次に胃、小腸、大腸の熱の発生とこもりの機序を見ていきます。胃、小腸、大腸は、
口から肛門までつながる内管系の一部になります。つまり口内、歯肉、唇の裏や唇
本体ともつながった同一の粘膜内管系であります。皮膚が外界の膜なら、内管は内側
の膜になり、これらは途切れる事なくつながった一枚の膜になります。外界の皮膚が呼
吸して熱をすてている様に、粘膜も内部の熱をすてていると考えられます。故に胃腸
の熱が外部に通じ易い口内や歯肉、唇から出ても何の不思議もありません。これは
下の口に当たる肛門も同様です。

胃、小腸、大腸に熱が発生するのは、まず過食による消化器への負担が一つの要
因にあります。胃腸が消化のために過度に働かされる事で、熱をもっていくのです。
身体運動で筋肉を酷使して、筋肉に熱をもつ状況と似ています。つまり少し休養さ
せてあげれば自然に回復できます。これはいわば胃腸の壁の表面だけの炎症にな
りますので、胃腸全体の病態とは異なります。

胃腸全体の病態とは、体の全体的な機能の低下に絡んだ問題として発生しています。
それは自律神経失調による、交感神経優位で副交感神経抑制という型の疾患になり
ます。自律神経失調は精神的ストレスの持続から起こる代表的な疾患です。交感神
経を優位に働かせて命に直結する肝臓と心臓の機能低下を元に戻す必要な対応に
なります(詳細は「不眠の本質」を参照)。その反面副交感神経が抑制されます。副交
感神経が抑制されると、胃腸を働かせる指令が途絶え、胃腸機能が低下します。
そして胃腸に血液が集まらなくなります。

それにも増して、精神的ストレスの持続は、全身の血液の循環、配分、質を乱す
最大要因になります。心臓のポンプ力が落ちる事で、血液の循環が悪くなり、肝臓
の充血で血液の配分が乱れ、胆汁の分泌不足で血液が熱をもち、赤血球連鎖が
起こり全身や脳の毛細血管の流れに停滞と詰まりを作ります。これにより血流が遅
くなり身体各部に血液不足を生じさせます。
以上の状態は、胃腸が機能しない状況を作り出します。これを回避するために胃腸
に血液を集め、熱を発生させて機能維持を図ろうと、対応する事になったのです。
これが胃腸全体に充血と炎症を生起させる最大要因であります。

この状態の持続は炎症だけに留まらず、次の段階のポリープや腫瘍へと進行して
いきます。これを回避するために、胃、小腸、大腸の熱の蓄積をすてる対応が、
外部に通じた口内や歯肉、口唇の炎症や潰瘍であるのです。
以上が胃、小腸、大腸に熱が発生し蓄積する根拠と機序になります。頭部(脳幹)、
心臓の熱の発生と蓄積の根拠と機序と合わせて、口内炎の本質と根拠と機序が明
らかになりました。どうすれば口内炎を改善し予防する事が出来るかは、こうした根
拠と機序の中に見いだす事が出来ます。

根本的原因となっている精神的ストレスの問題は、なかなかすぐに改善する事は出
来ませんが、体への影響を最小限に抑える事は可能です。
自律神経失調を改善し(交感神経優位、副交感神経抑制の状態)、全身の血液の循
環、配分、質の乱れを整える事が不可欠になります。そのためには”肝心要”に当たる、
肝臓、胆嚢と心臓の機能を高めていかなければなりません。また脳内の熱のこもりと
脳圧の上昇を除去し、口内の直接的な熱の処理も必要です。さらに全ての病気や症
状の背景に存在する自身の生命力や免疫力を高める必要があります。これらを行な
えるのが日本伝承医学の治療法になります。

生命力とは、新たな細胞を生み出す力であり、細胞新生力に置き換えられます。免
疫力とは細菌やウイルスを排除する力であり、これは血液の白血球が主体的に働き
ます。いわば血液全体の力であり、このためには新たな血液を作り出す事が必要に
なります。故に造血力が免疫力に置き換えられます。細胞新生と造血は共に体の骨
髄で行なわれており、生命力や免疫力を高めるには、骨髄の機能を発現する事で合
理的に行なえます。日本伝承医学の治療は、骨髄の機能を発現する事を目的に構
築されています。
また内臓的には、肝心要の肝臓(胆嚢を含む)と心臓を主体に構成されています。
肝心要を高める事で、肝臓、胆嚢と心臓の働きを改善し、全身の血液の循環、配分、
質の乱れを整える事が出来るのです。これにより自律神経のバランスを元に戻し、
脳内の熱と脳圧の上昇が抑えられます。以上の方法により、脳幹の熱のこもりが解
消され、心臓の熱も下がり、胃、小腸、大腸に十分な血液が供給され、充血と炎症を
起こさなくなります。体内各所の熱の蓄積が除去できれば、口内炎を発症させる必要
もなくなるのです。また家庭療法として推奨している頭と肝臓の氷冷却法は、脳内の
熱のこもりと脳圧の上昇を抑え、肝臓の熱と充血も解消し、機能を回復させます。
日本伝承医学では口内炎をこのように捉えて取り組んでいます。

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