花粉症

人の体のナゼとワケ~花粉症 の本質                              2015.4.1 有本 政治

日本伝承医学の病気の捉え方は、病気や症状を一方的に悪い反応として捉 えず、何かを元に戻すための一時的に必要な対応という観点で捉えていま す。このような観点で病気や症状を掘り下げて考えてみると、視点を変え て物事をみることの重要性に気づくと思います。症状を元に戻すための一 時的な必要対応という視点で考察する事で、症状の根拠と機序が明らかに なります。これが認識出来れば、どう対処すれば良いかも見えてきます。 また症状に対する不安感も変わってきます。 まず花粉症に対する現代医学的な所見と治療法を解説致します。 花粉症とはアレルギー性鼻炎の一つです。外から入って来た花粉やダニ、 ハウスダスト等により、クシャミ、鼻水、鼻づまり、涙、目のかゆみ等の 症状を起こす病気です。原因物質により2つに分類されており、季節性ア レルギー性鼻炎(杉花粉やその他の花粉)と通年性アレルギー性鼻炎(ダニ、 ハウスダスト等)です。 季節性の主な症状は、クシャミ、水性の鼻水、鼻づまりで、それ以外にも 喉や目の痒みや異物感、涙、頭重感、頭痛、皮膚炎のような症状など様々 です。通年性の症状は上記の症状以外にしばしば喘息やアトピー性の皮膚 炎等が合併します。 治療法は対症療法しかなく、季節性アレルギー鼻炎の場合は、抗ヒスタミ ン作用のある抗アレルギー薬や点鼻ステロイド薬が主体となります。 通年性の場合も同様に局所ステロイド薬や抗ヒスタミン薬が主体となり、 ダニやハウスダストの徹底除去が勧められます。最近では原因物質を体内 に取り込むアレルゲン免疫療法も行われています。喘息やアトピーに対し てはこれを封じ込める薬が使用されます。 しかしどれも対症療法の域は脱せず、根本的解決には程遠いのが実状です。 それだけに留まらず、抗ヒスタミン薬やステロイド薬の常用による副作用 も指摘されています。肝臓機能の低下や免疫抑制作用、骨髄機能の低下に よる白血球や血小板数の減少等が報告されています。 以上が現代医学的な所見と治療法になります。花粉症に悩む人は実に国民 の約25%~30%に達すると言われていて、正に国民病の様相を呈しています。 最近では何か流行りの病的(伝染病)な扱いにもなり、花粉が全ての原因とし て取り上げられ、これさえ遮断すれば問題解決と言わんばかりの状況です。 しかしこれは、少し冷静に考えるとおかしな事で、花粉が原因なら全ての人 がなる事になります。しかし実際は、ならない人は花粉を浴びても発生し ません。ここに考えなければならない問題点があるのです。 ここからは花粉症の本質を日本伝承医学の視点から解説します。伝染病は 外部から病原菌が体内に入って発病します。つまり病原菌は原因物質です。 しかし花粉症の場合は花粉は原因物質ではなくて、引き金として作用する 誘引物質なのです。まずここの認識を改めなければなりません。外部から 病原菌が入って発病するのではなく、その人自身の内部に問題があって症 状を出しているという事です。 生きている体の起こす反応は、無駄な事、無意味な事はしません。必ず意味 があって起こしています。ましてや体を悪くなる方向にもって行ったり、 命を縮めるといった対応はとりません。全ての反応は、何かを元に戻すため の一時的に必要な対応であるのです。また体の異変を知らせる警告サインの 側面もあります。確かに一時的とはいえ対応が起こっている期間は苦痛を伴 うものが多く、症状を抑えたいのは人情です。しかしそれがどうして起こっ ているのかを知る必要があるのです。知った上で対処をして頂きたいと思い ます。 結論的に言いますと、花粉症の原因は、花粉やダニ、ハウスダストにあるの ではなくその人自身の免疫力の低下にあるのです。免疫力とは、細菌やウィ ルスといった病原菌や有害物質から体を守る力を指しています。外部から 入ってくる有害物質や病原菌を遮断する役割は、まず外界との界面となる 皮膚がこれを担っています。当然皮膚は免疫力の高い場所の一つになりま す。ただ皮膚は膜に覆われているため表面が傷つかない限りは、すぐに病 原菌の感染はありません。問題なのは、皮膚の延長にある”粘膜”です。 特に外界と接する口内、喉、鼻の中、目の中の粘膜は直接的に病原菌や有 害物質と接します。ここは皮膚のような硬い膜ではなく柔らかい膜であり、 表面が粘液で覆われています。この粘膜と粘液こそ免疫機構の最前線であ り免疫物質の宝庫なのです。 この粘膜と粘液において正常な物質か有害物質や病原菌かどうかを見極め る、謂わば情報分析と処理を行っているのです。有害物質はここで処理し 病原菌は排除するか殺菌をして、当然体内には感染させないのです。粘膜 (粘液を含む)の免疫力によって、体を守る対応を発揮しています。粘膜で 排除出来なくて体内に感染した物に関しては、次の免疫機構を働かせるよ うに幾重にも対処能力を持っています。 この粘膜の免疫力がある限界を超えて低下したのが花粉症の真の原因なの です。つまり通常では、花粉、ダニ、ハウスダストやその他の有害物質や 病原菌も粘膜で分析処理出来るのですが、この機能に低下や破綻をきたし たのです。粘膜の免疫力が正常であるならば花粉、ダニ、ハウスダスト等 の比較的有害度の低い物質は、浄化して体内に取り込みます。体に入れて はならない有害物質や病原菌はさらに上位の処理で排除か殺菌処理します。 その段階的処理の中で、比較的有害性の少ない花粉、ダニ、ハウスダスト 等の浄化が出来なくなった場合、体のとる対応はこれらを体外に排出する 手段をとるのです。これが花粉やダニ、ハウスダスト等を外部に排出する 手段としてのクシャミ、鼻水、咳、涙になります。 体は一生懸命異物を洗い流そうと手段を用います。クシャミや咳は異物を 吹き飛ばすために、鼻水は洗い流すために、鼻づまりは毛細血管を拡張し て鼻に蓋をするために、眼に痒みを起こして、かくことで眼に血液を集め るために、皮膚病は内部に蓄積した内熱や毒素を外に棄てる手段として必 要な対応を発揮してくれているのです。花粉症の全ての症状の真の原因と 本質はここにあるのです。 粘膜で浄化出来ない状態で花粉、ダニ、ハウスダスト等を体内に入れる事は、 体内に有害物質を蓄積させる事になります。これが長期に及べば各種の生理 機能の減退をもたらし、ひいては生命力の低下も引き起こします。また体に 次なる対応を余儀なくさせ、この持続は体の免疫力を益々低下させる結果と なるのです。生命力や免疫力の低下は、感染症を起こしやすくし、がんや重 篤な疾患の根源的背景になる事もあるのです。 これを事前に防いでくれているのが花粉症の対応になります。免疫力が低 下したが故の体を守る対応です。免疫力があるレベル以下に低下した事を 知らせる体の警告サインでもあるのです。故に花粉症が発生した時点で、 自身の免疫力が正常に作動してない証拠になります。花粉症の発現は、自 身の免疫力に破綻が生じてきているということを認識すべきなのです。 花粉症発生の根拠と機序は以上になります。このように花粉症の症状は、 自らの免疫力の低下を補う一時的な必要対応として体に発生させていたの です。そして体の生命力や免疫力の低下を防ぎ、体を守ってくれています。 故にこれを封じ込める対症療法を行う事は、浄化出来ていない有害物質を 体内に取り込み、蓄積させる結果を招きます。そして益々重篤な方向へと 進行していきます。また抗ヒスタミン剤やステロイド薬、喘息の薬の気管 支拡張剤等は副作用の弊害が大きい薬剤であり、長期の常用により二次的 な疾患を引き起こす大きな要因となります。 何の疑問も持たず、毎年同じように封じ込める処置を繰り返す人がほとん どの状況ですが、花粉症の根拠と機序を知る事で、その対処法を変えるき っかけになって欲しいと思います。 それではどうすれば花粉症を改善し、また今出ている不快症状を和らげる 事が出来るのかを以下に解説します。花粉症の本質が自身の免疫力の低下 に原因があるため、低下した免疫力をいかに元に戻すかが命題になります。 免疫力という表現は抽象的でわかりにくい面があります。具体的には免疫 物質の中で主体的に働くのは、血液中の白血球になります。全体的には赤 血球や血小板も含めた血液そのものが免疫物質であると言ってもいいと思 います。この血液を新たに生み出す力となる造血力こそ免疫力に置き換え られると考えます。免疫力が造血力に置き換えられれば、免疫力を高める 具体的な方法が見えて来ます。造血力を発現させる事になります。 造血は人体の骨髄で行われています。骨髄機能を発現させる事で造血力を 高める事が出来るのです。これが確実に免疫力を上げる方法になるのです。 さらに体の根源の力となる生命力も骨髄機能を発現させる事で高める事が 出来ます。生命力とは具体的には”細胞新生”になります。新たな細胞の新 生はこれも骨髄で行われています。生命力とは細胞新生力を意味します。 このように骨髄機能を発現させる事で造血と細胞新生が同時に出来るので す。低下した免疫力と生命力を引き上げるには骨髄機能を発現させる事で 合理的に行なえます。 骨髄機能を発現させる事で造血力が高まり、免疫力の高い新鮮な血液が出 来ることで免疫力は上がりますが、それをもっと効率的にするためには、 血液そのものの循環、配分、質を整えていく事が必要になります。症状の 根底と背景には、これまで強調してありますように免疫力や生命力の低下 が確実に存在します。これらが原因となり、直接的な要因は全身の血液の 循環、配分、質の乱れが関わっています。花粉症に於いても直接的には鼻 や目の粘膜に、新鮮な血液が供給されないから機能低下が生起しています。 これは局所の問題だけではなく、全身の血液の循環、配分、質の乱れが要 因になっています。鼻や目の粘膜に新鮮な血液を供給するには、まずこれ を整える事が重要になります。 全身の血液の循環、配分、質の乱れは何に起因しているかと言いますと、 これは内臓の肝臓と胆嚢そして心臓になります。心臓ポンプ力が低下すれ ば当然血液の循環が影響を受けます。これは心臓より上部に位置する頭全 体に血液の供給が悪くなります。この持続は当然目や鼻に血液不足をもた らします。 次に肝臓が機能低下しますと、肝臓機能を元に戻すために大量の血液を肝 臓に集めます。血の固まりのような中身の詰まった大きな臓器に、大量の 血液を奪われる事で全身の血液の配分が乱され、目や鼻のある脳全体への 血液供給が不足する事になるのです。 次に肝臓に内包される形で存在する胆嚢の機能が低下すると、肝臓と同様 に機能回復のために、充血と腫れが生起されます。胆嚢という袋が腫れて しまうと、袋が収縮する事が制限され、中身の胆汁を分泌出来なくなりま す。胆汁はその苦い成分により、体の炎症を鎮め、血液の熱を冷ます作用 があります。この中の血液の熱を冷ます作用が落ちる事で、血液が熱を持 ち、熱変性によって赤血球のくっ付き、連鎖が生じるのです。このドロド ロ、ベタベタの血液が全身の毛細血管内の血液の流れを遅くするのです。 毛細血管の流れの停滞は全身にも脳内にも及び、脳への血液供給と脳の毛 細血管内の血液の流れを妨げる大きな要因となるのです。脳の毛細血管内 の血液の停滞は、血栓にも発展する可能性があります。これを防ぐ対応と して脳圧を高める事で毛細血管内の血液の停滞や詰まりを流そうと働きま す。この脳圧の上昇の持続は、脳内に熱を発生させます。脳の熱のこもり は、これを冷ます対応として副鼻腔に水を貯める結果を招きます。(副鼻 腔炎と花粉症の関係は改めて解説します)。この一連の流れは目や鼻、耳 の機能を著しく低下させます。この持続により、目や鼻の粘膜の機能を低 下させ、花粉症発症の大きな原因となるのです。 以上が心臓、肝臓、胆嚢の機能低下による、全身の血液の循環、配分、質 の乱れの機序と、目や鼻への影響の理由になります。肝臓、胆嚢、心臓 の働きにより全身の血液の循環、配分、質は調整されているのです。 以上の解説の中から、花粉症の改善と予防には何をすべきかがはっきりし て来ました。症状の背景にある生命力や免疫力の低下を高め、直接的に作 用を及ぼしている全身の血液の循環、配分、質の乱れを元に戻す事が不可 欠になります。前述してありますように、生命力と免疫力を高めるために は、骨髄機能を発現させる事です。全身の血液の循環、配分、質の乱れを 元に戻すには、肝臓(胆嚢を含む)と心臓の機能を上げていく事です。さら に脳内の脳圧の上昇と熱のこもりを取るためには、頭を冷却する事が必要 です。 上記の事を合理的に行なえるのが日本伝承医学の治療になります。日本伝 承医学は骨髄機能を発現させる目的で作られています。 内臓に関しては、肝臓、胆嚢、心臓を中心に技術が構築されています。さ らに家庭療法として推奨する頭と肝臓の氷冷却法は、肝臓の熱と充血をと り、機能を元に戻すために有効になります。また脳内の熱のこもりを取り、 脳圧を下げる効果を発揮します。 目や鼻の直接的な症状の改善には、副鼻腔の分布する額、眉間、鼻の両脇 の冷やして気持ち良い箇所を見つけ氷冷却します。これによりクシャミ、 鼻水、鼻づまり、涙、目の痒みを軽減させます。また併発している副鼻腔 炎の水の貯留を引かせ、鼻水、鼻づまりの症状の軽減にも繋がります。 鼻水がどんどん出てくるので、十分な水分補給も大切です。お茶やコーヒー等だ けではなく、水を飲む習慣をつけてください。また外に出るときには、マスク をする、ミント系のガムやあめをなめる、鼻の下がカサカサになるので馬 油を薄く塗る、目が赤くかゆみが出るときには、くみおきの水は用いず、 水道の蛇口から出る流し水で眼球を洗うようにする、洗濯物はできるだけ 室内干しにしたり、外出から帰ったら髪や衣類についた花粉をよく払う等、 このように日常生活においてもささいな事に気をつけていくようにして いきます。

 

人の体のナゼとワケ~「続」花粉症と副鼻腔炎の本質

花粉症の根拠と機序については、すでに解説してあります。鼻や目の粘膜の 免疫力低下のため花粉、ダニ、ハウスダスト等の処理が出来なくなった対応と して、これらを全て排出するための手段として症状を出しています。 無毒化処理出来なくなった花粉、ダニ、ハウスダスト等を体内に蓄積させない ために、必要な対応をとっています。 目や鼻の粘膜の免疫力が低下するのは、局所的な問題だけではなく、体全体 の生命力や免疫力の低下が背景にあり、全身の血液の循環、配分、質の乱れ があります(前の項に詳述してあります)。ここでは花粉症発生のもうひとつの 大きな要因として挙げられる副鼻腔炎との関連を解説します。その前にまず副 鼻腔炎とはどういう症状なのか現代医学的な所見と治療法を説明します。 はじめに副鼻腔とはどこに位置していて、どういう働きをするのかを説明します。 副鼻腔は頭蓋骨の中心部、鼻の奥にある複数の空洞の事です。4つの空洞が 鼻腔とつながり、かなり高範囲に渡る空洞になります。副鼻腔の働きは、鼻から 吸い込んだ空気を、この空洞に循環させる事で、空気の温度を調整し、脳内 の温度を一定に保つエアコンの役割を担っています。つまり脳の温度が上が らないようにするための”空冷装置”の役割をしてくれています。特に脳の中心 の脳幹部(生命維持機能の司令塔)の熱の上昇を抑えて、生命を維持していく ため中枢機能の働きを守ってくれています。 空冷装置とは何かと言いますと、空気を流す事で熱を奪う仕組みです。空気 に触れる面を増やすために翼状(フィン)の突起を表面に付けます。わかりや すく例を挙げれば、オートバイのエンジンを包んでいるフィン状の突起群が相 当します。走行中に空気を使って、熱くなったエンジン表面を空気の流れをま とわせる事でエンジンを冷やし、オーバーヒートを防いでいます。副鼻腔内も この構造と同じように無数のフィン状の突起が存在します。フィンを付ける事 で空気に触れる面を増やし、空気の流れの調節も果たします。空冷とはこう いう意味になります。ちなみに自動車は、エンジンも大きく熱の発生量が高い ため、空冷装置では熱を冷ます事が不可能で、水を使用した水冷装置を冷 却に使っています。実はこの水冷装置という考え方が副鼻腔炎の本質を解く 鍵になります。 副鼻腔炎とは風邪や鼻炎などをきっかけに、鼻の奥の副鼻腔に細菌感染が 起こり、炎症が起きた症状を言います。症状は垂れるほどの鼻水、呼吸困難 になる程の鼻づまり、膿状の鼻水、臭覚障害、痛みの発生(鼻の奥、頬骨、額、 歯等)が挙げられます。急性と慢性があり、細菌感染が主な原因とされていま す。治療法は細菌を抑える抗生物質、消炎剤、鎮痛剤といった薬物療法が 主体になり、ネブライザー療法という、抗生物質を鼻から霧状にして吸い込む 点鼻療法がありますが、治りにくい時や、重度の場合は手術的な治療になる こともあります。 以上が副鼻腔炎の現代医学的な所見と治療法になります。次に日本伝承医学 の捉える副鼻腔炎を解説します。生きている体に起こる全ての反応は、意味の ない事はしません。何かを元に戻し、命を守る対応をとってくれているのです。 症状とは見方を変えれば、元に戻すための一時的な必要な対応と考えられる のです。様々な苦痛を伴うため、一時でも早く取り除きたいと思うのは人情です。 ただ症状の根拠と機序を正しく知った上で処置を講じるべきなのです。 この視点に立って副鼻腔炎を捉え直すと以下になります。 副鼻腔炎とは 、細菌感染による炎症ではなく、脳内の熱のこもりを副鼻腔の 空冷装置で取り除く事が出来なくなり、熱を冷ますために水を集め、水を使用 して脳内や脳幹部の熱を冷ます必要対応になります。空冷から水冷への切り 替えを余儀なくされた対応になります。体は大切な機能を守るためにはここま でのことを成し遂げます。さらにもっと幾重にも対応手段を備えているのです。 鼻の奥で脳の中心部までをしめる大きな空洞に水や膿が溜まるため、鼻水を かんでもかんでも次々と出てきます。初めは水状の鼻水が、脳や脳幹部の熱 のために、ネバネバした膿状の鼻汁に変化していきます。この鼻水や膿状の 鼻汁は、脳や脳幹部の熱が下がらない限りは次々と貯留します。それは脳幹 部に熱がこもると、生命維持機能に指令を出す中枢の働きが低下してしまい 様々な生理機能に影響が出てしまうからです。 脳幹は別名”命の座”と呼ばれ、呼吸中枢、心拍中枢、体温中枢、ホルモン中 枢、自律神経中枢、女性の生殖機能の中枢等が収められています。また精神 的な情動の調整もここで行われています。正に生命維持の指令中枢となってい るのです。ここの機能が低下すると生命力や免疫力が下がり、様々な病気を引 き起こします。感染症やガンも発生しやすくなります。これを守るために、体は 副鼻腔に水をためて脳幹部の熱を冷ます対応をとるのです。これが副鼻腔炎 の本質です。 副鼻腔炎が発生すると、目や鼻の粘膜の免疫力は低下します。粘膜の免疫力 の低下は、花粉症の原因となる事は前項で詳述してあります。その人自身の生 命力や免疫力の低下と共に、花粉症発生の直接的原因は、まず副鼻腔炎の 発生があり、これによる目や鼻の粘膜の免疫力の低下が引き金になっていくの です。このように花粉症と副鼻腔炎とは密接な関係があり、結論的には副鼻腔炎 の発症が先にあり、目や鼻の粘膜の免疫力の低下を引き起こし、これに乗じて 花粉症が発生するのです。 また、副鼻腔炎の発生は季節と深く関わっています。花粉症の発生時期は、 1月末位から4月の末位までの春先から春にかけての時期になります。副鼻腔 炎はこの頃起こりやすくなります。その理由は季節と内臓との関連にあります。 東洋医学では、春と肝臓(胆嚢を含む)を結びつけて考えています。つまり一年の 中で春という季節は、五臓の中で肝臓と胆嚢が一番活発に働く季節に配当され ています。そのための準備として、春先から肝胆に血液を集め、熱も発生させて 肝胆機能を高めようとするのです。現代人のほとんどが、自覚は無いのですが、 肝臓と胆嚢機能が低下している状況にあっては、より大量 の血液を集め、 軽い炎症状態にし、肝胆に腫れも生起させることで、機能を高めようと活発に働 きかけます。 これが春先から春にかけて体に起こるのです。この体の必要対応は、一時的に 全身に様々な影響をもたらします。中身の詰まった大きな臓器である肝臓に大 量の血液が集まる事で 、全身の血液の配分が乱れ、脳への血液供給に不足を 生じさせます。そして中身の詰まった大きな臓器である肝臓が熱を持つ事で、 その熱の上昇は頭部に”のぼせ症状”を作ります(肝陽上亢)。これは脳の熱のこ もりの一因になります。 さらに胆嚢も熱を持ち腫れる事で、袋の収縮が出来なくなり、胆汁の分泌に支 障をきたします。苦い胆汁の分泌不足は、血液の熱を冷ます作用を失い、熱 変性による血液の連鎖を生じさせます。このドロドロベトベトの血液は、全身や 脳の毛細血管内に血流の停滞や詰まりを生起させます。全身の毛細血管の 流れの停滞は脳への血流を遅くし、脳への虚血を引き起こします。また脳の 毛細血管の流れの停滞や詰まりを流す対応として、脳圧を高める事で毛細血 管を圧迫し流そうとします。 以上の持続は脳の血液不足を慢性化し、少ない血液を早く流す対応として脳 圧の上昇を余儀なくさせるのです。前述した毛細血管内の停滞や詰まりを流す 対応と相まって脳圧の上昇の持続は脳に熱の発生をもたらし、上記ののぼせ 症状も加わり、脳や脳幹に熱をこもらせていったのです。この熱のこもりを冷ま す対応として副鼻腔に水を溜めることにつながったのです。 以上が春先から春にかけて副鼻腔炎が発生する理由になります。花粉症の発 生は、このように時期的な副鼻腔炎の多発が背景に存在して、その関連の中 から発症しているのです。当然局所的な問題だけではなく、詳述してあります ように、自己の生命力や免疫力の低下が必ず背景に存在します。両者が相ま って春という季節との関連の中から発症するという根拠と機序を知って頂きた いと思います。副鼻腔炎と花粉症との関係は以上となります。 副鼻腔炎はこのような根拠と機序を持って起こっています。必要な対応として 起こしているので、これを薬で封じ込めたり、手術で取り去る事はしてはいけま せん。これらの処置を行っても、止めればまた再発してしまいます。なぜならば 副鼻腔炎は、脳幹の熱を冷まし命を守る必要不可欠な対応だからです。 さらに抗生物質、消炎剤、鎮痛剤、ネブライザー療法(抗生物質の噴霧点鼻 療法)等を使用し、長期に及び封じ込めたり、手術を繰り返すと、体はさらなる 対応として、病や症状を益々内部に進行させ重篤化し、また薬の副作用も加わ り、症状を複雑化していきます。次の対応として考えられる事は、脳内の熱の 処理が限界を超えると、脳全体に水を集める事になり水頭症へと進行します。 次には熱と毒素を一箇所に集めて棄てる対応として腫瘍(オデキ)を形成します。 これが脳腫瘍の始まりにつながっていきます。 病気の根拠と機序を知る事の重要性がここにあります。症状を封じ込めてしま うとたかが副鼻腔炎ではなくなってしまうのです。それではどう対処すればよい かは副鼻腔炎の根拠と機序の中から見えて来ます。水を溜める原因となる脳 と脳幹の熱を取り去る事が必要になります。そのためには脳や脳幹の熱の発 生の原因を解明しなければなりません。これは脳だけの問題ではなく、体全体 との関連もあり、精神的ストレスが大きく関わっています。 現代人はパソコンやスマートフォンの普及により、一世代前から比べると目と頭 の酷使が尋常ではありません。これは目と脳を疲労させ脳に熱を発生させる一因 となります。これらの目の疲労と頭脳疲労による熱は、大脳の新皮質にこもります。 脳への熱のこもりの最大の要因は、精神的ストレスの持続になります。精神的 ストレスの持続は、常に 気になる事として昼夜を問わず、脳を働かせ刺激を 送り続けます。この精神疲労の持続は、脳の中心部に位置する大脳旧皮質 (脳幹部)に熱をこもらせていきます。こうして大脳と脳幹部の両方に熱がこも って行くのです。 さらに全身の血液の循環、配分、質の乱れから、脳への血液の供給が不足す ると、少ない血液を脳全体に早く巡らせる必要性から、脳圧を上昇させてこれ に対応します。この脳圧の上昇の持続が、脳内に熱を発生させます。 以上の心身両面からの要因により大脳と脳幹部に熱が発生し、こもっていき ます。前述してありますように、脳幹部の熱のこもりは生命活動に大きく影響し、 これを守る対応が副鼻腔炎の発生につながっているのです。 脳内や脳幹部の熱の発生と蓄積の根拠と機序がわかっていけば、どう対処 すれば良いかが見えて来ます。目や脳の疲労を軽減し、精神的ストレスの持 続からくる脳幹部への熱の蓄積を最小限に抑え、全身の血液の循環、配分、 質の乱れを整える事が必要になります。また直接的には副鼻腔の炎症を軽 減する方法も必要です。さらに脳や脳幹部に熱がこもる状況は短期間での事で はなく、長期に渡る心身の疲労蓄積があります。この蓄積は当然、全体的な 生命力や免疫力の低下をもたらします。これらは全ての病気や症状の根源的 要因となります。生命力や免疫力を高めることが根治と再発防止のためには 必要です。また生活習慣の見直しも大事です。 日本伝承医学の治療法は、免疫力と生命力を高めるための大きな手助けと なります。生命力とは細胞新生力に置き換えられ、免疫力とは造血力に置き 換えられます。細胞新生と造血は共に人体の骨髄が担っています。 生命力と免疫力を高めるには、骨髄機能を発現させる事で合理的に行なえます。 また脳の血液不足の要因となる全身の血液の循環、配分、質の乱れの調整 は、これらに一番関与する肝臓(胆嚢を含む)と心臓の機能を上げる事で調整 出来ます。 日本伝承医学の治療法は、骨髄機能を発現させることを目的とし構築されて います。内臓的には肝心要と言われるように肝臓と心臓を中心に技術が構築さ れています。生命力や免疫力を高め、全身の血液の循環、配分、質の調整に 適している治療技術になります。また家庭療法として推奨する頭と肝臓の氷冷 却方法は、脳と脳幹部の熱のこもりを除去し、肝臓(胆嚢を含む)の腫れと熱も軽 減します。肝臓の充血が取り除かれる事で全身の血液の配分を正します。また 胆嚢の腫れが除去される事で胆嚢 の収縮を促し、苦い胆汁の分泌が血液の 熱を冷まし赤血球の連鎖を剥がし、毛細血管の流れの停滞を改善します。 これらにより脳への血液供給を改善出来るのです。 副鼻腔炎の直接的な処置は、後頭部と両首を冷却し、副鼻腔が分布する顔面 の眉間部、鼻の横、額を、氷を当てて気持ち良い箇所を探し冷却します。これ により脳内全体の熱のこもりと副鼻腔内の炎症を軽減し、鼻づまり、頭の重さ、 呼吸等を楽にします。 前述してありますように、パソコンやスマートフォンの長時間の使用やテレビ、 ゲーム機の視聴は目と脳を疲労させ、大脳へ熱をこもらせます。仕事上でのパ ソコンの使用を制限する事はなかなか難しいですが、個人の機器に於いては減 らす努力は必然となります。ましてや副鼻腔炎を罹患している人は脳への刺激は 極力控えていかなければなりません。目や脳の疲労回復と軽減の方法として、1日 に何回か目を閉じる時間を設ける事です。目を閉じて光を遮断し目と脳を休め るのです。静かに目を閉じていますと、ジワッと涙が溢れて来ます。涙が出る事 で眼球に酸素を供給し回復を助けてくれるのです。疲労の強い人は涙が出にく いのですが、続ける事で出て来ます。また遠くを見たり、緑の物を見たり、星や 月を見ることも大事です。このような対処法により、回復していくことができます。 副鼻腔内に水を溜める必要が無くなり、目や鼻の粘膜の免疫力も回復できるの です。花粉症の改善にも副鼻腔炎の改善は不可欠となります。

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