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椎間板ヘルニアを捉えなおす (目に見えるものすべてが悪ではない)        2003.10.14 有本 政治

人体積木理論をベースに腰椎椎間板ヘルニアを捉えなおしてみたいと思います。椎間板ヘルニアとは、脊柱の下部にある腰椎に起こる椎間板の脱出(ヘルニア)症状を指しています。椎間板とは脊椎骨と脊椎骨の間に存在し、軟体性(コンニャク状)のもの で、輪状繊維と髄核で構成されています。クッション性をもち、脊椎骨にか かる圧力を液体的要素でもって、圧力を吸収する働きを担っています。  また脊柱という固い柱がクネクネと動けるのは、この椎間板が24個の椎 骨の間にあることで、自由にカーブを変えることが可能だからです。  腰椎、椎間板ヘルニアを発生する場所は限定されており、5個ある腰椎 の下部、第4、第5腰椎間、または第5腰椎と仙骨間に、そのほとんどが発 生します。この軟体性で袋状になった椎間板が破れ、外に脱出(ヘルニア) し、脊髄神経を間接的に圧迫することで腰部や下部に痛み、しびれ、まひ が発生するというのが腰椎、椎間板ヘルニアという病気なのです。この診断法は、以前は腰椎部に造影剤を注入し、X線撮影でもって判 定していました。昨今ではMRIという画像診断法により今まで見えなかっ た内部が正確に撮影されるようになり、診断法が格段に進歩しました。椎間板ヘルニアと診断された場合、その処置法として神経の圧迫を解 除する目的で腰椎のけん引法が用いられたり、外科手術によって脱出し た椎間板を除去する方法が病院ではとられています。まさに“理”にかなった方法のように思われています。近代科学思考法 に洗脳されたが如くの現代人は「目に見えるものしか信じない」という科 学の風潮を生み出しました。椎間板ヘルニアに関してもこれまで見えなかった身体の内部が、MRI の登場によって、より正確に見えるようになりました。まさに“夢の画像診 断法”であります。見えなかった身体の内部がより正確に見えるようにな ったということは、「目に見えるものしか信じない」現代科学者にとって、 朗報でありました。正確に椎間板の脱出(ヘルニア)の個所とその大きさ、形が見えてくるのです。これまでの治効理論通り脱出した椎間板が脊髄神経を圧迫して、その 支配領域に痛み、しびれ、まひが発生するので、それを除去することでそ れらを解消できると信じて、けん引法や脱出した部分の外科的手術をそ の手段としていたのです。しかし“目に見えるものしか信じない”この思考法を覆さなければならな い事態が、逆に“見えた”ことで起こってしまったのです。それは、MRI画 像診断で明らかにヘルニア像が確認できるのに、一切腰痛もしびれもま ひも発生していないのです。仕方なくこのタイプを“無症候性ヘルニア”と 新たなる診断名をつけざるを得なくなってしまっているのです。

アメリカの医学情報誌によれば、MRIによって人の6割近くに、椎間板 ヘルニア像が映るといわれています。日本人においては7割り近くの数 字が出るとある学者は報告しています。このうちほんの一割に満たない 人しか、痛み、しびれ、まひを訴えないのです。またヘルニアの手術を受 けても、その再発率は年を追うごとに増加し10年後くらいにはほぼ100% に近い人が再発をすると報告されています。 実はこの無症候性ヘルニアと同じことが「脳」のMRI画像診断によって 発生したのです。 脳の血管がつまる「脳梗塞」という症状があります。脳の血管がつまる ことは、悪い症状であり、これは放っておくわけにはいかないと判断する のは、近代科学的思考法に洗脳された思考法しか持ち得ない現代人に とっては“常識”となる考え方です。“目に見える異変はすべて悪”とする 思考法からすれば当然といえるものです。  見えないものが見えるようになった“画像診断法”MRIは、脳の内部を も正確に映し出しました。そこに見えたものは、脳の血管がいっぱい詰ま った姿だったのです。しかしその患者は頭痛もめまいも手のしびれもまひ も症状が何もなかったのです。しかたなくこれを“無症候性脳梗塞”と呼 ぶようになりました。身体の内部に発生している目に見える異変(ヘルニア像、血管のつま り)、骨の変形、内臓の変形、筋肉や腱、じん帯等の部分断裂等はすべ て“悪”とは言えなくなってしまっているのです。しかし洗脳されたがごと くの現代人の脳はこれを容認できないのです。身体の内部は永遠に完 璧でなくてはならないのです。“モノは永遠に変わらない”この幻想が支配し続けているところに大き な問題が潜んでいるのです。多少の変形は生きる上で許容できるもの であり、逆に変形、変化させることでイノチを保持してくれている姿であ るという視点が大きく欠落してしまっているのです。『目に見える異変、変形はすべて悪ではない』 MRIの登場は“目に見えるものしか信じない”現代人を満足させるもの でありました。しかしその幻想を覆す事実を“浮き彫り”にすることになっ たのです。

例えば自動車を例にして変形イコール悪ではないことを考えて見ましょ う。新車であったとしても何年も動かしていればボディはへこんだり、傷つ いたり、塗装は変色します。  内部のエンジンもピストン部が摩耗したり多少の変形が当然起こります。 ましてや20年30年経てば“変形”がでるのは必然です。しかしエンジンは 始動し、動くのにそれほど支障はありません。整備さえすれば、30年40年 十分に乗れるのです。つまり車の外部、内部におこる変形、変色、摩耗は “許容”できる範囲のもので、車本来機能の“動く”ということに何の支障 もないのです。それは人体におきかえても十分に言えることで身体の外側の肌は年を 経るに従い潤いを失い、シワができ、シミや変色は当然起こってきます。 身体の体形、姿勢も年齢に応じて変わってきます。身体の内部において も多少の毛細血管のつまり、脊柱の曲がり、一個一個の椎骨の変形、関 節の変形、内臓の位置や形の異変等50年60年経てば、若い頃と同じと いう訳には当然いきません。またこうなることが自然です。動く上に、イノチを存続するために、それが“許容”できる範囲内のもの であるなら、目に見える変形、異変はすべて悪とは言えないのです。 そればかりか、もう少しイノチの存続という視点で掘りさげて考察すれば、 変形することで何かを守り、痛みを発生させることで、内部の異常を知ら せる警報サインにもなり、痛みが発生することで身体を横たわらせ、元に もどすための対応処置とも考えられるのです。生体における反応、症状は“生きるため”の正への対応となってる点を けっして見逃してはならないのです。

椎間板ヘルニアはどうして起こるのか?

MRIという画像診断法によってヘルニアが見つかったとします。前述して ありますように、椎間板の脱出状態があったとしても痛み、しびれ、まひを 必ずしも引き起こしていないという事実が判明しているということは脱出 (ヘルニア)による脊髄神経の圧迫が痛みの根拠ではないはずです。 それでは何が根拠となり、機序となって痛みやしびれ、まひが引き起こさ れるのか捉えなおしてみる必要があるのです。現代の検査機器は今まで見えなかった身体内部を映し出してくれました。 今まではっきり見えなかった椎間板のヘルニア像を画像として取り出して くれました。しかし、これは起こっている結果であります。その根拠と機序 に関しては、いまだはっきりとした見解を示し得ていません。これを明確に してくれるのが人体積木理論であります。椎間板ヘルニアがどうして起こるかと言いますと、身体全体に起こってい る姿勢の歪みにその根拠はあるのです。具体的には、脊柱という柱全体に起こっている正常の生理的カーブを逸 脱した状態の持続によって引き起こされていくのです。脊柱の正常カーブ 逸脱の形態はすでに解説してある通り、二種類あります。脊柱の生理的湾曲を増大させるタイプと脊柱が生理的湾曲を減少させ 直線型になるタイプです。この二つのタイプの中でも、椎間板ヘルニアを 起こしやすいのは前者の生理的湾曲を増大させているタイプです。積木に例えれば、積木の積み方のジグザグ度が一番大きな形となり ます。上の積木と下の積木のずれが一番大きい積み方です。高く積めば 積むほど一番下にある積木の面圧の偏在が強くなります。積木がやわら かい素材であれば、一番下にある積木の面にかかる力は増すばかりで、 ずらしてある分小さな面に応力の集中が起こり、ついには変形してしまう のです。この通りのことが人体内部、脊柱の基底部、第4、第5腰椎間及 び第5腰椎仙骨間に発生するのです。脊柱の理想的な生理的カーブによ って力の集中を分散している機構が生理的カーブの逸脱によって一点に 力の集中が起こってしまうのです。 脊椎骨間には、ショックアブゾーバ(衝撃吸収)としての椎間板が組み込 まれています。しかし、脊柱の生理的カーブ逸脱による応力集中が長期 間に及ぶことによって、ついに椎間板という“袋”が破損してしまい、流れ 出ている姿がヘルニア(脱出)現象なのです。腰椎椎間板ヘルニア以外で、腰椎分離症、腰椎すべり症も同様の機序 と中で応力の集中が椎骨の椎弓部という構造的に弱い個所に及び、ひび 割れ状態になったのが腰椎分離症であり、脊柱の最下部にある第5腰椎 の椎体部(上下の椎骨との接触部分)が前方にすべり出したものが腰椎す べり症となるのです。脊柱の生理的カーブが増大するということは、「脊柱のS字カーブについ て」の項で解説してありますように、骨盤という土台にあたる下部の構造 躯体の傾斜角が増大すると、その上に乗る腰椎は前湾カーブが増大せざ るを得ません。これを重力線上にバランスをとるために胸椎の後湾カーブ も増大し、頸椎の前湾カーブも増大することで、まさに積木のバランスの とり方と同様のことが全脊柱の柱に発生することになるのです。このよう に脊柱の生理的カーブの逸脱によって応力の集中が発生し、この状態の 長期持続によって、脊柱の下部の腰椎に椎間板ヘルニアを作りだしてい るのです。人体積木理論は、このヘルニアの根拠と機序をみごとに説明できる理 論です。現代人が見えなくなっている「全体と部分」との関わりをこれほ ど、わかりやすく教えてくれるものはありません。 二足直立を果たした縦長な人体構造はまさに、積木を積み重ねた構造 と合致しています。子どものおもちゃとしての“積木”は子どもの心をつかんで離さない何か をその中に隠しもっています。古代より子どもの心をつかむおもちゃには 宇宙の法則、自然の法則をその中にもっているからこそ、子どもはその 素直な心で感じとっているのかもしれません。

痛み発生の機序

椎間板の脱出(ヘルニア)による脊髄神経の間接的な圧迫によって、痛 み、しびれ、まひがその支配領域に発生するとこれまで考えられていまし た。MRIの登場によって、“無症候性ヘルニア”という新展開を余儀なくさ れたということは、痛み、しびれ、まひを捉えなおす余地があることを示し ています。神経生理学的に、痛み、しびれ、まひ発生の機序を考察してみ る必要があるのです。神経というものはある“一点”をピンセットやクリップでつまんで圧迫して も、痛み、しびれ、まひは起こりません。ではどうすると神経に生理的変化 が起こるかというと“引き伸ばされた”状態が加わると痛み、しびれ、まひ が起こるのです。 わかりやすくいうと、例えばゴム線が伸ばされて引っ張り応力が働き、 全体が細くなった場合です。故に第4腰椎、第5腰椎間、第5腰椎、仙骨間 という局所に起こった椎間板ヘルニアという部分的な神経の圧迫によって 痛み、しびれ、まひが起こるという説は信憑性を欠くことになるのです。 事実、MRIの画像診断によって椎間板ヘルニアが発見されても、約9割の 人には、痛みもしびれもまひもない“無症候性ヘルニア”であるという報告 は、上記の説を十分に裏付けるものと思われます。 残りの1割弱の症例は、神経圧迫説以外の要因を考えるべきであろうと 考えられます。神経が引き伸ばされている要因は、脊柱全体が生理的カーブを逸脱し、 湾曲カーブが増大したり、直線的になることで全体の姿勢が大きく変化し、 これによって神経が引き伸ばされているのです。 つまり痛みの発生の機序は、脊柱の生理的カーブの逸脱による全体の 姿勢の変化が、神経を引き伸ばすことによって発生していたのです。さらにつけ加えれば、人体バナナ理論の中で詳述してありますように神 経が単純に引き伸ばされるだけでなく、ここに捻れの応力が加われば力 が中心に作用し、さらに神経の受容・伝達・処理・反応・能力を低下させる ことは十分に考えられます。これによって痛み、しびれ、まひは発生してい るのです。故に、局所的な処置は、一時的に症状は軽減できても再発は必ず起こ ってくるのです。痛み発生の根拠と機序を正しく認識することで、その対処 法は自ずと見えてきます。椎間板ヘルニアを時間の経過の中で正しく捉え、 全体と部分の関係を考慮することが最もたいせつな視点となるのです。

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